SPECIAL INTERVIEW Vol.3 - Diplo (Major Lazer)

スペシャルインタビュー第3弾は、ハイパー・デジタル・ダンスホールユニット「MAJOR LAZER」を率いて来日したディプロを直撃。インタビューアーを務めるのは、ロックとエレクトロを融合させたユニークなサウンドで注目を集める新世代ロックバンド「モニカ・ウラングラス」のボーカル68。目指すはボブ・マーリー?「Guns Don't Kill People, Lazers Do」はパンクロック?かねてよりMajor Lazerの大ファンを公言するモニカ・ウラングラス68がミュージシャンならではの視点からアルバム制作の裏側に迫ります。
68(以下68): こんにちは。Monica Uranglassの68です。
DIPLO(以下D): よろしく!あ、バンドやってるんだ。どんな音楽なの?
68: ジャンルはえーと、エレクトロ・ロックです。
D: そうなんだ。CDある?
68: こちらCDです。えーと、早速質問なのですが、アルバム「Guns Don't Kill People, Lazers Do」に関する質問から。とりあえずアルバムのアートワークの過激さにびっくりしたのですが、そのアイデアはどこからきたの?
D: まず、アルバムのコンセプトとして「デジタルダンスホール」のアルバムを作るというものがあったんだよね。80-90年代初頭には、ダブとかダンスホールの大きなシーンがあったんだけど、そのシーンではアルバムのジャケットとかにコミックのアートワークを使うことが流行っていたんだ。サイエンティスト&プリンス・ジャーミーのレコード(※1)とかをチェックすれば分かると思うけど、コミックブックスタイルのアートワークが多用されている。あとパンクのレコードにもコミックが多く使われていたし、まあ80年代にはコミックのアートワークを使うのが流行っていたって訳だね。特に影響を受けたアーティストはルモニアス(※2)かな。彼は20~30くらいのレゲエアルバムのアートワークを手がけているはずだよ。しかも手描きでね。
68: かっこいいです!!D: ルモニアスの作品はわりと簡単に見つけられるからチェックしてみて。例えばグリーンスリーブス(※3) とかのアートワークも手がけていたりするしね。
68: 何度もアルバムを聴きました。歪んだディストーションギターの音とか生演奏的なサウンドが使われているのが印象的だったけど、あれは自分で演奏を?
D: いや、自分では弾いてないよ。オレ楽器はできないからね。まあHold TheLineでは弾いてるけど、あれは同じ音を繰り返しだすだけだからね(笑)。例えばLazer Themeは、実はブラック・フラッグのシックスパック(※4)のカバーなんだけど、パンクチューンをレゲエビートでカバーしてるんだよね。で、この曲はサンプルを使ってなんども重ねて録音してるんだけど、それがすごく大変だった。でも結局実はあまり満足していなくて、使ってないけどオリジナルのデモが一番かっこいいんだ。俺たち皆ブラック・フラッグが大好きなんだよね。パンクとダンスホールをミックスさせるのがアイディアだったんだけど、あの曲はそれ単体ですごいパンクな出来だけど、アルバム全体としてもビデオがあって、グラフィックがあって、まあレゲエミュージックの中では可能な限りパンク的なアプローチをしてみたという感じだよ。
68: やっぱりパンクっぽさを強く感じますね。
D: そうそう。Lazer Themeは超パンクって感じだけど、アルバムコンセプト全体もパンクをコンセプトにしているんだ。やっぱりみんなを驚かせたいっていうのがあるんだ。驚かせたり何これって思わせること、反抗的(Rebelious)であることこそがパンクロック精神だよね。
68: 確かに!曲の中で激しいギターリフやベースラインのなかに自然音というかオーガニックなサウンドが入っていますが、そういうアイデアも先ほどの驚かすという発想から?
D: それはレゲエの手法の特徴的なものかと思うんだ。レゲエでは激しい音の中とソフトな音を混ぜることが多いからね。ダブでもデジタルなやつでもそうだよ。例えばCASIO(※5)のドラムとベースを使って、それに柔らかいシンセパッドの音やボーカルを載せたりするよね。俺にとっては、それこそがレゲエのグルーヴのベースのように思えるね。ハードでラフな音を使っているけど、しっかりそれでグルーヴを出すこと。それを突き詰めたのが今回のアルバムなんだ。
68: 懐かしいような音を使っているのに、斬新というか、すごく新しく感じました。
D: それが特徴だね。俺たちは単にレゲエマニアのためのレゲエを作りたかった訳じゃないんだ。いつジャマイカのレゲエシーンでかけても違和感ないようなレコードを作りたかったんだ。クレイジーで自分勝手なレコードを作るンじゃなくて、ジャマイカのダンスホールやレゲエアーティストに支持されるようなレコードをね。そして実際もう2、3回ジャマイカでもプレイしたんだ。本場のシーンにリーチする事ができて、存在感を出すことができた事には本当に満足しているよ。

68: 前回大阪に来たときに観にいったんですが、何度か来日して日本のオーディエンスについてはどう思いますか?
D: 日本のオーディエンスは演るたびに毎回変わっていく気がするな。前回来日した時はフジロックだったんだけど、その時に初めてKudu、ファンク、バイレファンキ、メジャー・レーザー、ハウス、エレクトロとか色々なジャンルの音楽を混ぜてDJするスタイルを披露したんだよね。で、その時の日本のオーディエンスがすごくよく反応してくれたのを覚えているよ。それまでの日本のオーディエンスに対するイメージは、例えばハウスだったらハウスだけ、テクノだったらテクとだけとかジャンルに拘っているイメージがあったけど、最近の若いキッズはジャンルにとらわれず様々な音楽を同時に受け入れられるスマートな子が増えた印象だよ。
68: 確かにMajor Lazerはキーワードとしてレゲエのイメージが強いけど、自分の友人でレゲエ以外のジャンルが好きな連中もMajor Lazerは共通して好きなんです。そこにすごく力を感じますね。
D: まさにそれがMajor Lazerのアイデアなんだ。誰もが入ってこられるようなアルバムを作りたかったんだよ。最近はダンスホールをやっていてもハードコアでシリアスなダンスホール一辺倒れになってしまう人が多くいるけど、それじゃあ面白くないよね。やっぱ面白くてバカバカしいことをやりたいんだよ。それはジャンルにとらわれずいろいろなものを取り入れるってことだと思うんだ。ジャマイカ人だってポップなものが好きだったりロックが好きだったり様々だし、面白くなくちゃ音楽じゃないからね。
68: 最後に今後のことを教えてくれる?
D: 実は最初は趣味で始めたユニットだったんだけど、それがアルバムをリリースする事になり、アートワークからミュージックビデオまで一つのコンセプトですごく面白いものを作ることができた。今度はカートゥーンも作る予定なんだ。Hold The Lineはカートゥーンビデオだったけど、それのシリーズを作る予定なんだ。12くらいエピソードがあるやつね。で、それをゆくゆくはTVで放送したりね。
D: すでに次のレコード用に6つくらい曲も出来ていて、その中にはグエン・ステファニ(※6)をフィーチャーしたものもあれば、スカっぽい曲もあれば、エレファントマン(※7)もいるし、M.I.A.もいるし。とにかくクレイジーなものを作りたいんだ。ボンジ・ド・ホレ(※8)とかも出したし。ちなみにジャマイカでボンジ・ド・ホレを連れて行ったらダンスホールだと思われたんだけど、彼らはぜんぜん違うんだけどね(笑)。そんな感じでかなりレゲエシーンにブレイクスルーを起こしたけど、将来的にはもっと伝統的なルーツレゲエのアルバムも作りたいと思ってるんだ。ぶっといベースラインのクールなやつを作りたいね。ボブマーリーみたいなビッグな音楽がやりたいよ(笑)。レゲエとしても超一流だし、世界中に受け入れられるようなものをね。
68: ありがとうございました。
Major Lazer
M.I.A.、ボンヂ・ド・ホレを世の中に送り出した張本人でグラミー賞にもノミネートされた最もゴキゲンなプロデューサー“ディプロ”と、サンティゴールド、トリッキーを手掛けクラブ・ミュージックの新ジャンル、フィジェット・ハウスを世に広めた立役者“スウィッチ”の二人からなるデジタル・ダンスホール・ユニット。ダンス・ミュージックに対して各々が培ってきたセンスと過激に進化を続けるダンスホール・レゲエのコクと旨味が折衷されたサウンドは、中毒者を続出させた。
MONICA URANGLASS
07年結成。80年代ダンスミュージックやNEW WAVE等から影響を受けたロックを奏でる3人組。08年1stEPリリース。翌年リリ―スしたアルバムがタワレコメンに選ばれる。その後各イべントや学園祭など精力的にライブをこなす。09年MINAMI WHEEL初参戦し、入場規制を記録。10年ダイノジロックフェスに出演、2枚目のEPをリリ―スし今ライヴシーンにおいて、着実に動員を伸ばしている注目アクトである。
M.I.A.、ボンヂ・ド・ホレを世の中に送り出した張本人でグラミー賞にもノミネートされた最もゴキゲンなプロデューサー“ディプロ”と、サンティゴールド、トリッキーを手掛けクラブ・ミュージックの新ジャンル、フィジェット・ハウスを世に広めた立役者“スウィッチ”の二人からなるデジタル・ダンスホール・ユニット。ダンス・ミュージックに対して各々が培ってきたセンスと過激に進化を続けるダンスホール・レゲエのコクと旨味が折衷されたサウンドは、中毒者を続出させた。
MONICA URANGLASS
07年結成。80年代ダンスミュージックやNEW WAVE等から影響を受けたロックを奏でる3人組。08年1stEPリリース。翌年リリ―スしたアルバムがタワレコメンに選ばれる。その後各イべントや学園祭など精力的にライブをこなす。09年MINAMI WHEEL初参戦し、入場規制を記録。10年ダイノジロックフェスに出演、2枚目のEPをリリ―スし今ライヴシーンにおいて、着実に動員を伸ばしている注目アクトである。
※1) ジャマイカ出身のダブミキサー&レコードエンジニアPrince JammyとScientistの事。二人のDub対決を収録したScientist vs. Prince Jammy - Big Showdownが有名。Prince Jammyは60年代、70年代にダブの手法を確立したことで知られるKing Tubbyの弟子としても知らている。(iTunesへのリンク)
※2) 80年代から90年代初頭にかけてジャマイカのアーティストのレコードカバーを数多く手がけたことで知られるWilfred Limoniousの事。手がけたレコードがジャマイカ国外に流通する事がほとんど無かったためジャマイカ以外ではほとんど知られていない。ルモニアスの活動は謎に包まれておりその生死すらも定かではないが、一説によると21世紀初頭にこの世を去ったと言われている。
※3) 今日でも依然活動を続けている最も古いUKのレゲエレーベルのひとつであるGreeenleaves Recordsのこと。幅広いリリースで知られる。
※4) 70年代後半に活躍したカリフォルニア出身のパンクバンドBlack FlagのSixPackのこと。Black Flagはハードコアパンクの先駆けとして後のシーンに多大な影響を与えた知る人ぞ知る重要バンドだ。
※5) カシオ計算機株式会社が製造・販売している電子キーボードカシオトーンのこと。他の機材と比べると比較的安価で手に入ることからかジャマイカのレゲエシーンで多用され独特の浮遊感のあるレゲエサウンドを創り出す一助となった。
※6) アメリカの人気スカ・パンクバンド「No Doubt」のボーカル。最近はソロ活動も目立っており、日本の原宿からインスパイアされたヒット曲「「Harajuku Girls」などが有名。
※7) ジャマイカ出身のレゲエアーティストElephant Manのこと。
※8) Diploが発掘したことで知られるブラジル出身のバイレ・ファンキグループ。2008年にDIESELの30周年を記念して開催されたフェスティバルDIESEL XXXにも出演を果たした。
※2) 80年代から90年代初頭にかけてジャマイカのアーティストのレコードカバーを数多く手がけたことで知られるWilfred Limoniousの事。手がけたレコードがジャマイカ国外に流通する事がほとんど無かったためジャマイカ以外ではほとんど知られていない。ルモニアスの活動は謎に包まれておりその生死すらも定かではないが、一説によると21世紀初頭にこの世を去ったと言われている。
※3) 今日でも依然活動を続けている最も古いUKのレゲエレーベルのひとつであるGreeenleaves Recordsのこと。幅広いリリースで知られる。
※4) 70年代後半に活躍したカリフォルニア出身のパンクバンドBlack FlagのSixPackのこと。Black Flagはハードコアパンクの先駆けとして後のシーンに多大な影響を与えた知る人ぞ知る重要バンドだ。
※5) カシオ計算機株式会社が製造・販売している電子キーボードカシオトーンのこと。他の機材と比べると比較的安価で手に入ることからかジャマイカのレゲエシーンで多用され独特の浮遊感のあるレゲエサウンドを創り出す一助となった。
※6) アメリカの人気スカ・パンクバンド「No Doubt」のボーカル。最近はソロ活動も目立っており、日本の原宿からインスパイアされたヒット曲「「Harajuku Girls」などが有名。
※7) ジャマイカ出身のレゲエアーティストElephant Manのこと。
※8) Diploが発掘したことで知られるブラジル出身のバイレ・ファンキグループ。2008年にDIESELの30周年を記念して開催されたフェスティバルDIESEL XXXにも出演を果たした。

